同席したのは何故馬場だったのか
長篠異聞の話。
信長家康勝頼の三者会談。
馬場信春は一言だけ話す。
なぜ同席したのは馬場だったのか。
内藤でも山県でもなく、なぜ馬場だったのか。
信長も勝頼も、馬場信春の最期を知っている。
不死身の最期を知っている。
此度は勝頼が馬場を生かそうとし、馬場もまた思いに応える。
信長は別の世で見た(知った)馬場美濃の思いを知っている。この男が勝頼を認めるならそれを信ずる。
勝頼が馬場を同席させたのは打算ではない。
一番生かさなければならない人材だから選んだのだ。もし馬場に認められなければ、それを受け入れる覚悟もあったのだろう。
家臣は当主に従い、命を賭す。
当主にすれば一度失った家臣を二度死なすわけにはいかない。
勝頼は戦に勝ちにやって来たわけではなかったのだと、改めて思った。